こんな方におすすめ
- 英語力を総合的に上げたい方
- リスニングスキルを特に上げたい方
- シャドーイングって何?な方
「リスニングを中心に英語力を伸ばしたい!」そんな方にお勧めなのが、シャドーイング。
シャドーイングは、もともと同時通訳者のための訓練方法でした。
シャドーイングはリスニングだけではなく、「読む力」、「話す力」、「語彙力」のアップにもつながります。
そこで今回は、シャドーイングの「①効果、②やり方、③コツ、④教材」について丁寧に説明していきたいと思います。
目次
・1. シャドーイングとは?
シャドーイングとは、英語の音声を聞いてそれを聞こえたまま真似して発音するトレーニングのこと。
英文を聞きながら、音声よりも少し遅れて発音します。
「Wearing Nothing New」(お洋服中毒の方におすすめ!)
・2. シャドーイングの効果
・シャドーイングの効果①:「読む力」・「聞く力」が伸びる
第二言語習得論によると、「読む力」と「聞く力」は脳の同じ部分で処理されているとのこと。
そして、「書く力」と「話す力」もまた同じところで処理されています!
英語の勉強をする時は「読む練習」と「聞く練習」を一緒にやったほうが効果的。
その点、シャドーイングは最高の勉強方法になります。
なぜなら、「読む力」と「聞く力」を同時に伸ばすことができる練習法だからです。
シャドーイングの練習をしていると、その流れの中で自然と「サイトトランスレーション」も行うことになります。
「サイトトランスレーション」とは、、英文を意味のかたまりごとに区切って前から訳していく練習のこと
シャドーイングでは、ネイティブの音源を聞いてどこで発話者が息継ぎをしているのかまで聞いて真似る必要があります。
なので、自分がそれを「聞く」「真似をする」をすれば自然と「サイトトランスレーション」の練習にもなるんです。
先ほどのTEDの動画の冒頭部分でも、以下のように英文を区切って話しています。音源を聞きながら、下の図でスラッシュの場所を確認してみて下さい。
シャドーイングをする時、大切なのは、「聞こえてくる英語と全く同じ発音・スピードで」繰り返すことです。
その中では嫌でも集中して聞く必要があります。練習を通して英語のスピードに慣れ、今まで聞き取れなかった単語の"英語の音"がわかるようになっていきます。
・シャドーイングの効果②:「話す力」が伸びる
シャドーイングを通して発話者の「モノマネ」をしていると、自然とイントネーションや音の強弱、発音の練習になるのでネイティブに伝わりやすい話し方ができるようになります。
また、「自分の言いたいことを伝える」「強調したいところの感情表現」の練習も自然と行えるので、人前でをスピーチするいいトレーニングにもなります。
私たち日本人は、欧米の人たちに比べてアウトプットの練習量が圧倒的に少ないです。
英語のスピーキングといったアウトプットの練習だけでなく、そもそも日本語ですら自分の意見をスピーチしたり、わかりやすく説明をするための練習はほとんど行いませんでしたよね?
そのため英語で話せるようになるためにはそもそも「自分の意見の伝え方」についても練習が必要になります。
その点、TEDは話自体も面白く、発話者のプレゼンのスキルも相当高いです。
TEDの発話者は話し方に抑揚をつけたり、ユーモアを交えたりして、原稿をカンペしなくても流ちょうに話せるように内容を構成しています。
・シャドーイングの効果③: 「語彙力」が伸びる
シャドーイングでは、実際に英文を声に出して練習しています。
しかも、発話者の音声に寄せるために、録音して発話者と自分の発音を聞き比べて違いがなにかをじっくり考える作業もあります。
このシャドーイングの一連の練習を通して、単語やフレーズも一緒に覚えることができるんです。
単語は単体で単語帳などを使って覚えるよりも、文章の中で一緒に覚えるほうが定着率があがるという研究結果が出ています。
なので、シャドーイングをすれば、自然と文章中で単語にたくさん遭遇し、練習を重ねていくうちに単語が定着します。
日本人に多いのが「英単語を見て日本語の意味はわかるのに、会話の中で英単語を頭の中から取り出すことができない」。
これは、日本人の単語の覚え方に原因があります。学校でスタンダードになっている単語の覚え方は、単語帳で英単語と対になっている日本語の意味をセットで覚えていくというスタイル。
例えば、頭の中でりんごを思い浮かべて、これを英語で言いたいというとき。英語と日本語をセットで覚えていく方法で暗記していると、「英語⇔日本語」の回路を通らなくてはいけないので、まずリンゴの姿をイメージ -> りんご(日本語)-> Apple(英語)と三段階になります。
一方、もしリンゴのイメージ = Appleという風に、リンゴのイメージとセットで英単語のまま覚えることができれば、いちいち日本語に訳す時間がなくなるので、すぐに自分の記憶からAppleを引っ張り出すことができるのです。
普段日本語を話すとき、思い描いたことをそのまま日本語を使って説明しますよね?英語でもそれができればいいんです。
シャドーイングをしているときは、音声の内容についていろいろと自分でイメージを広げます。
ストーリーを頭の中でイメージして、それをダイレクトに英語で自分で発音することで、ストーリーをそのまま英語で話すことになります。
・3. シャドーイングのやり方
シャドーイングは、いきなり声を出す練習を開始するのではなく、まずは「文章を聞く」・「文章を読む」ところから始めます。
それは、先に内容を理解しておくと、自分がこれから声に出す英文と、英文の内容を一致させることができるからです。
前準備としてこれをしておくと、「聞く力」が伸びるだけではなく、自分が使える語彙が増やせたり、表現の仕方について理解が深まります。
ただ、上級者の方はステップ4からでも大丈夫です。
前情報なく、音声を聞いたまま、追いかけるように発声することから始めると、ネイティブの発音の聞き取りをより高いレベルで出来るように。
聞こえた英文を一瞬でどういう内容なのか理解をする、といういいトレーニングにもなります。
一方、
「英文を見て内容を理解するのにまだ時間がかかる」
「ゆっくり目の英文のリスニングをして、まずどんな英文が流れているのか聞き取ることも難しい」
の状態であれば、Step 1~4を通しで実施するのがおすすめです。
step
1 文章を見ながら音声を聞いてみる
実際にシャドーイングを開始する前に、理解をより深めるための前準備を行います!
まずは文章を見ながら、音声を聞いてざっくりとどんな話題について話しているのか聞いてみましょう。
ここで、もしわからない単語やフレーズがあれば調べて理解してください。
実際に、声を出して練習を開始する前に、スクリプトをみて「?」がない状態にしておくイメージです。
ここで、話の内容について自分なりのイメージを掴んでいると、そのイメージと聞こえてくる英文とをリンクさせることができるようになります。
声を聞いていて「聞き取るの難しい・・」ところは特に注目してください。そこが自分がしっかり認識できてない"英語の音"だからです。
さらに「へぇー自分なら、こんな風に発音するなんて思わないなー」とか「この単語とこの単語がつながるように発音してるなー」など、自分なりに気を付けたい、工夫したいところを探してみてください。
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21回目のシャドーイング実施 (スクリプト見ながら)
続いていよいよシャドーイングです!スクリプトをみながらで大丈夫ですので、音声再生開始後に少し遅れて発音してみてください!
お笑い芸人のコロッケさんになったと思って、音声と「そっくりそのまま」に発音するようにしてみてください!
この時注目してほしい、モノマネポイントは以下の通りです。
- 休むタイミング
- 単語の発音 ("and"なども発音するときは"n"しか発音しないことも)
- 読む速さ (強調したいところはゆっくり)
- 音の強弱 (強調したいとこははっきり、くっきり話す)
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3自分の声を録音して、音声と比較する
何度か練習をして、口が動くようになったら自分の声を録音します。自分の発音を聞いてみて、音声とどこが違うのか確認をしましょう!
そこで、改めて見つかった「気を付けて発音する箇所」をスクリプトに印付けして、練習をしてみるのもおすすめ。
究極のゴールはシンプルに「友達が自分の音声と音源を聞いて、どっちが音源なのか区別がつかないぐらいそっくり」な状態。
自分の好きな歌を練習するときのように、リズムや強弱、速さ、音の高低など意識してチェックしてみてください。
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4 2回目のシャドーイング実施 (スクリプト見ない)
この段階に来たら、スクリプトを見ずに耳だけを頼りにシャドーイングをします。
前のステップでスクリプトを見ながらモノマネ練習をやりこんでいるので、とてもやりやすくなっているはず。これはテスト感覚でやってみてください。
最後に耳のみを頼りにシャドーイングすると、視覚は何も使わない分、耳の感覚が研ぎ澄まされます。
仕上げに「発音をそっくりにする」つもりでトライです。また、この段階でも何度か録音をしてみて、音源と聞き比べながら試行錯誤してやってみてください。
・4. シャドーイングのコツ
・シャドーイングのコツ①:「難しすぎない」・「興味のある」素材で練習する
シャドーイングで使う素材は自分にとって難しすぎないものを選びましょう。わからない単語が多すぎるものや、会話のスピードが速すぎたり、アクセントが強すぎる発話者の素材だと、つらくなって挫折してしまいます。
シャドーイングをする前の、素材のスクリプトを読んだり、聞いてみる段階で、ある程度理解できるものを選ぶといいでしょう。
また、自分に関係がある話題のものや、興味のある題材の素材を選ぶことも重要です。
2. シャドーイングの効果でお話したように、シャドーイングを通して単語・フレーズを覚えることができます。
自分で話しながら覚えることができるので、話すときにもすぐに覚えた単語を使えるようにもなります。
ということは、シャドーイングをするなら、自分が会話で使いたい単語がたんさん含まれている素材を選ぶと効率的ですよね?
なので、素材としては自分と関連のある話題だったり、自分が興味があるものなど、自分が会話でよく使いそうな題材のものを選ぶことをお勧めします。
・シャドーイングのコツ②:音声の内容をイメージする
シャドーイングするときは、話している人の内容を自分の感覚でイメージしましょう。また、発話者が思いを込めてスピーチしているところは、自分も同じ感情になりきって発音するといいです。
ただスクリプトに書いてある英文を暗記して、読み上げたところで、覚えている文章を増やすだけで自分が実際の会話やスピーチで使えるものになりません。
例えば、「I'm so excited (とてもわくわくしている!)」というフレーズがシャドーイングで出てきたら、自分の中でわくわくしているときの感覚を思い出してみるのです。
など何でもいいです!わくわくしている時の胸の高鳴り、自然と話す声もはっきり大きく明るくなるなど自分の中で「わくわくしている」という感覚を思い起こしてみましょう。
そして、発話者が音声の中で言っている「I'm so excited」の声の抑揚、明るさ、リズムを一緒にモノマネします。
抑揚、強調のない「I'm so excited」音声
気持ちのこもった「I'm so excited」音声
このように、自分の中で発話者の言っている内容の情景を、自分の感覚でイメージし、感情も実際に感じながらシャドーイングをすることで、英語で言いたいことを伝える感覚が身についてきます。
・シャドーイングのコツ③: 完璧を目指さない
シャドーイングをする時、なるべく「本物そっくり」になるまで練習をしたほうがいい。
これは間違いないのですが、もちろん完璧に一緒じゃなくても大丈夫です。
そもそも人の持ってるもともとの声の高さは違いますし、声の持ってる特徴も人それぞれ。アクセントについてもどうしても国による違いはあります。ある程度は違ってOK。
あくまでもシャドーイングで習得すべきは、基本的な音のルール(つながったり、消えたり、イントネーションなど)や自分の意見を伝えるときの表現の仕方です。
1つの動画や音声を使ってシャドーイングの練習を繰り返し、録音を聞いてみて、ある程度音声に近づけることができたら次の素材での練習に移りましょう。
ずーっと、同じ素材を繰り返し続けても飽きてしまいますし、新しい素材で練習をすると、新しい表現に出会えるし、新たな発見もあるはず。
十分に練習をし、録音を聞いてみて音声とほぼ同じように聞こえるようになったら合格を出してあげてくださいね♪
・5. おすすめのシャドーイング教材
基本的には、ご自身でもともと興味のあるものや、やってみたい素材があればそれを優先してください。
例えば、クラシックバレエが大好きで、海外のプロのバレリーナの動画を見ながらシャドーイングをする、とか。
仕事で英語が話せるようになりたいITエンジニアの方であれば、IT関連の英語がたくさん出てくる、アプリ開発の方法を説明したYoutube動画など。
何でもOK!ただ、初級者の方であればスクリプトがないと最初は難しいと思うので、スクリプトはついてるもののほうがいいです。
では、まだどんなものを使っていこうかお悩み中の方々のために、シャドーイングにおすすめの素材をいくつかご紹介します。
直感で選んでみて、聞いてみて、楽しくやっていけそうか確認してみてください。
・おすすめ教材①: TED
ココがおすすめ
- スマートフォンさえあればいつでもどこでも利用可能
- 視聴料 0円
- 10分から20分程度の疲れにくい長さ
- テーマが豊富なので興味のあるものをみつけやすい
まず私が一番おすすめしたいのがTEDです!
TEDは、人前でスピーチをする練習をほとんど受けてない私たち日本人の弱点を補強してくれる最高の教材です!
しかもプレゼンで人の心を動かしたりする動画が多いので、プレゼンの練習にもなります。
英語学習以外の面でも、様々な分野の専門家が内容の濃いスピーチを聞けることから、人生に役立つ知識が吸収できるのも魅力の一つです。
TED Talks -> Discover -> Topicsで400近くあるトピックの中から、面白そう!と思った動画を選んでみてください。
また、その動画が自分に合っているか確認することも大事です。
それぞれの動画についているサブスクリプトを見て、知らない単語や読めない単語が多すぎないかあらかじめ確認しましょう。
ココがポイント
サブスクリプトを見て自分の知らない語彙が多すぎないか確認する
・おすすめ教材②: TOEIC公式問題集
ココがおすすめ
- TOEICのリスニングパートで高得点狙う人にぴったり
- 【初級者におすすめ】映画などよりも発音がクリアで聞き取りやすい
- ビジネスでも日常でも使える表現が多い
「TOEICで高得点を取りたい」方におすすめなのがこちら。
世の中にはTOEIC対策のための書籍がたくさんありますが、テストの再現性でいうと公式問題集を上回るものはありません。
テストを作成している機関が出している公式の問題集ですので、TOEICで高得点を取る必要がある!という方はまずこれをやったほうがいいです。
また、TOEICのリスニングパートの音声は、洋画や海外ドラマに比べてとっても聞き取りやすいんです。
実際、TOEICで900越えた頃に海外ドラマを見てみたら、思ってたよりも何言ってるのか理解できなくて凹みました。
なので、さらに聞き取るのが難しい映画などでシャドーイングを始めるよりも、まずはTOEICでベーシックなスキルを身に着けるのもおすすめ。
基本的なコミュニケーションのベースラインを学ぶという意味で、こちらはおすすめです♪
TOEIC公式問題集はこちら
・おすすめ教材③: 海外ドラマ
ココがおすすめ
- スマホがあればいつでもどこでも利用可能
- 1話あたり約20~30分程度で疲れにくい
- 日常会話で使われる自然な英語表現が多い
最後におすすめなのが海外ドラマ。
私も人気海外ドラマの一つである「ビッグバン★セオリー」を見て、ネイティブが使う自然な英語表現をたくさん吸収することができました。
海外ドラマにも様々なジャンルがあり、1話あたりの長さもシリーズによって違いますが、おすすめは以下の条件のもの。
ココがポイント
- 会話がメインのドラマ(恋愛、コメディ、ヒューマン、ビジネス系)
- 1話あたり20~30分ぐらいの長さ
アクション系のドラマだと、効果音が多かったりするので、残念ながらあまり会話の勉強にならないです。
恋愛系、コメディ、ヒューマン、ビジネス系であれば、会話する場面が多いので、自分の好きな内容によってドラマを選べばOK。
また、続けやすさの面で1話20~30分ぐらいのものだとベター。
このぐらいの長さのドラマから、好きなキャラクターが言っているセリフなどを、本人になりきってシャドーイングしてみましょう。
また、個人的におすすめの海外ドラマ「ビッグバン★セオリー」については別の記事でご紹介してますので、よければ一緒に読んでみてくださいね
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「ビッグバン★セオリー」が英語学習に最適な理由【海外ドラマ】
続きを見る
海外ドラマを見ていると、コミュニケーションって表情や、口調によって相手への伝わり方が全然違うんだなーということに気づくはず。
例えば、「what?」一つとっても会話の内容やキャラクターの表情で、それがポジティブなニュアンスか、ネガティブなニュアンスが全然違います。
もし、大切な親友から「I got a boyfriend!」というお知らせを聞いた後の「what?」はかなり興奮気味に「うそ!(おめでとう) 」という前向きな感じになります。
一方で、「I broke your watch..」からの「what?」は、「は?(怒) 」の後ろ向きな感じですよね。
」単語一つでも、短いセンテンスでも相手に気持ちを伝えられるんだ!」
「ジェスチャーや表情も合わせて自然に気持ちを表現できるんだ!」
そういうことを学べるのが海外ドラマの素晴らしいところです。
ぜひ、好きな海外ドラマを見つけて、楽しくシャドーイングしてみてください♪
動画を見るにあたって、hulu, Netflixは英語字幕を表示することができるので、英語学習者には特におすすめです!
Hulu / フールー
HJ Holdings, Inc.posted withアプリーチ
Netflix
Netflix, Inc.posted withアプリーチ
・6. まとめ
シャドーイングをすると、リスニングスキルの向上はもちろんのこと、英語力を総合的に底上げすることができます。
言語を習得するとはスポーツと一緒で体を使ってこそ上達するもの。
「ネイティブの口調、イントネーション、感情のこめ方、表情などすべてコピーしてやる!」気持ちで取り組んでみてください。
最後に、今回の記事と相性のいいものを紹介します。
シャドーイングの前に、アルファベットの発音を丁寧に練習すると、シャドーイングの効果が倍増します。
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【英語の発音】を鍛えるための勉強法・おすすめの書籍、アプリを公開します
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